五稜鏡記

写真機についての感想、主にKマウント機。

smc PENTAX-DA★200mmF2.8ED[IF] SDM レビューまとめ

  • 開放ふっくら、絞ればキレる、絞りの活用が楽しいレンズ
  • ヌケとボケの良さ、ペンタらしい色のり
  • 開放ではパープルフリンジが出やすい
  • 換算300mmの画角が扱いやすい
  • F2.8光束対応ボディならAFは迷いなく決まる
  • 手持ちで十分に扱える大きさと重さ
  • 三脚座がないため、三脚での使用はバランスが悪い
  • リアコンバーター A2X-L との組み合わせはお勧めできない
  • フルサイズ機でクロップせずに使えそうな予感
  • 発売予定の DFA★70-200 が登場するとよりニッチなレンズに

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2008年2月発売のレンズ。過去カタログに記載のレンズ構成図から FA★200 のデジタル向けリニューアルと推察されます。この翌月に DA★300 が発売されており、この2本の性質は明らかに違います。

プレスリリースでは「ボケ味を生かした撮影に最適」とうたっていて、DA★300 とは対照的なふっくらした描写が持ち味です。ただし、ふっくらした描写は開放付近。F8あたりまで絞ったときのキレ味は、個人的には DA★300 を凌駕しているのではと感じるぐらいのものがあります。

このレンズのウリである、ボケは自然で美しいです。DA★300 も十分美しいボケなのですが、ピントの合ったところからのなだらかさでは DA★200 の方が優っていると感じます。

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輝度の高い被写体になると開放付近ではパープルフリンジが目立つことがあり、人工物や反射の強いものは被写体としては苦手といえます。DA★300 は気にせず撮影できますので、飛行機や電車を主な被写体とするなら DA★300 の方が向いているでしょう。

DA★200 が向いているのはポートレートや動物の撮影と思います。最短撮影距離1.2mで、撮影倍率は0.2倍のため、マクロ的な撮影は DFA100 のようにはいきませんが、それなりに寄れることやボケの美しさもあって、大写しにしないなら花撮りも楽しいです。

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このレンズを買った動機は、DA★300 使用時にAFがたまに迷うため、F2.8光束対応ボディであれば迷いは少なくなるのではとの考えからでしたが、期待に沿うものでした。AFはきっちり決まります。速度も DA★300 と比べれば速いと感じますが、最新のレンズ DFA150-450 や他社AFとの比較はできていません。7年前に発売されたレンズということやネットでの評価も考慮すると、絶対値ではそんなに速くないだろうな、と推測がつきます。

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 Σ18-35 とほぼ同じ大きさ・重さなので、広角~標準を主にしている方には大きくて重いレンズと感じるかもしれません。一方、望遠を主にしている方には小さくまとまったレンズだと感じられるでしょう。三脚座がないことから、三脚に据えようとするとレンズ側が重くなりバランスが悪くなります。手持ちで機動性を生かした撮影が持ち味ということで、三脚座を用意するよりも小型軽量を優先した設計なのかもしれません。

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現行ラインアップではこのレンズにしか適合しないリアコンバータ A2X-L ですが、今のレンズに求められている性能を到底満たしていません。MFになる、Exifの絞り値が換算記録されない、画質は明らかに低下するといいところがありません。

唯一使いどころがあるとすれば400mmのマクロ的撮影になりますが、そのためにこのリアコンバータを購入するというのもちょっと高価すぎる気がします。単に400mmの焦点距離を求めるなら、DA★300 にHDリアコンバータを装着するほうがいいですし、さらには DFA150-450 という選択肢があります。

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なお、A2X-L にも三脚座がついていないため、ボディの三脚穴を使っての三脚固定はバランスが悪すぎて実用的ではありません。キヤノンのリング式三脚座AIIを使えば適合しますが、そこまでして使う必要はないです。HDリアコンが発売される前、純正での焦点距離300mm越えは DA★200 + A2X-L か DA560 しか選択肢が考えられなかったので、私は沼にはまり込んでしまいました。歩みは遅いかもしれませんが、ペンタも充実してきてますね。

このまとめを書いている時点では フルサイズ機が発売されていませんので推測になりますが、前述のとおり FA★200 のリニューアル版ということでフルサイズには対応していそうです。周辺画質がどうなるかはわかりませんが、イメージサークルは問題なさそうです。フルサイズに装着すると、望遠としての性格は薄まりますが小型軽量を生かした撮影ができそうです。

一方、近日発売予定のまま半年以上放置されている DFA★70-200 はこのレンズの明るさ・焦点域をカバーする上、最新の光学設計やレンズコーティングを採用していることにより、同等以上の性能が期待できそうです。もともと DA★300 という出色のレンズの存在から影が薄いこのレンズ、ますますニッチな存在になりそうです。でも、個人的には好きなんですよね。