smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited レビューまとめ
- 現代的なデジタル向けレンズとは一線を画すボケと色のり
- 絞ればキレるがギスギスしすぎないところがいい
- 固定フードがわずらわしい
- 防滴・QSFS・レンズ内AFモータではない
2001年発売のレンズ。発売当時ペンタックスはデジタルカメラを発売してないため、フィルムカメラ向けのレンズでした。すでに10年以上を経過しているので、オールドレンズと言っても差し支えないのですが、その描写はデジタルカメラでも十分通用します。
開放では若干ヤワい画でパープルフリンジも発生しますが、ピントの合ったところはきちんと解像しています。絞るに従って急激にキレが増すという昔ながらの描写です。
デジタルカメラ向けの開放からキレるレンズが当たり前になっていると、扱いにくい描写と判断されそうです。「神レンズ」という評価がある一方、費用対効果がはっきりしないという評価があることの原因ではないのかと思います。DA35mmF2.4 が安くて写りがいいらしいので、FA31 がスポイルされているかもしれません。
絞ればキレるのですが、FA Limited の「写真の奥深さを見せてくれる個性派レンズ」という謳い文句に従うなら、やはりボケを生かした画を求めるのが使いこなすコツと感じています。(謳い文句は、2003年5月のレンズカタログに記載)
わかりやすいようにあえてシルバーのレンズキャップを被せてみました。ブラックにはブラックのレンズキャップが付属するのですが、あえて追加で買っています。
被せ式のレンズキャップは紛失の恐れが高いので、所有している他の Limited レンズは嵌めこみ式のレンズキャップを使っているのですが、FA31 はフードが固定・・・フードが何かに引っかかったりして無理な力がかかるのを防ぐため、被せ式で運用しています。これが面倒です。
また、固定式のフードはフィルムカメラのイメージサークル向けに作られているので、APS-C機では足りないことになります。フィルターネジにねじ込む汎用のメタルフードを装着しようにも、固定フードが邪魔をしているために、できません。
ウェポン化と名付けられた方法があるようですが、見た目がスマートでないと感じるのでしていません。逆光耐性は悪くないので、そのまま使っています。
DAレンズは防滴・QSFS・レンズ内DCモーター装備が主流となりつつありますが、どれも欠けています。現在の基準でいえば使い勝手が良いとはいえません。
以下の条件に当てはまるのが多い方にはおすすめできます
- APS-Cで標準画角を多用する
- ボケや立体感を重視する
- MFでじっくり撮る
- 絞り値による画の変化を楽しむ
- 等倍鑑賞よりも全体鑑賞を好む
- 直線的・人工的よりも曲線的・自然的な被写体を好む
- 買ったレンズが自分に合わなくても泣かない
いいレンズですが、手放しでほめるという位置づけではありません。個性の激しいレンズゆえに、腕に覚えのある方ならともかく、私のようなへっぽこでは難しいのかもしれませんね。